五線譜2
Recommend Tracks/Fusion,Others2

Stanley Clarke/『Rocks Pebbles And Sand』

 説明不要の超絶ベーシスト。77年の『Journey To Love』にJeff Beckが参加してからは、ロック・フィールドでも多くの信奉者を集めるようになる。このアルバムではJeffとの共演経験のあるSimon Phillips(現TOTO)や、元PagesのCharles Icales Johnson等が参加。A面はハード・ロック仕立ての疾走感溢れるサウンドが展開されており、これはこれで良いのだが、やはり注目はB面のメロウ・サイド。Mercy Levyとのデュエットによるバラード<You/Me Together>では、後のGeorge Dukeとの<Sweet Baby>を彷彿とさせる雰囲気が随所に。Louis Johnsonとのベース・デュオによる重量級ファンク、<We Supply>は圧巻の一言。そして11分15秒の超大作<The Story Of A Man And A Woman>は悶絶だ。3パートに分けられた組曲仕立てだが、2パート目の<A Fool Again>が、日本人好みの哀愁メロディを存分に聴かせる逸品。初めて耳にしてから15年以上経過するが、何度聴いても色褪せるという事を知らない珠玉の名曲だ。
Stanley Turrentine/『Tender Togetherness』

 60年代はBluenoteでバリバリのJazzアルバムを何枚も発表。70年代にあのCTIに移籍。『Sugar』『Cherry』等のポップな名盤を生み出す。その後のFantasyでの数枚ではディスコに色目を使いながらも、独自のメロウ感覚に更なる磨きをかけた。このアルバムはElektra移籍後の2枚目。プロデュースをLarry Dunnが担当した為、Earth Wind&Fire的色彩が随所で感じられる傑作となった。Earth的スパイスが利いたリズミカルな<Hermanos>、美しいストリングスとビートのコントラストが極上の雰囲気を醸し出す<Cherubim>、あのDianne Reevesが印象的なヴォーカルを聴かせるミディアム・フロウの<Only You And Me>等、どの曲も聴き所満載だ。ちなみに<After The Love Is Gone>のムーディなカヴァーも収録。
 Philip Bailey、Ralph Johnson、Roland Bautista、Fred White、Phoenix Horns等々、当時のEW&Fの面々も参加。
Sergio Mendes/『same』

 Sergio Mendesと言えば、<Mas Que Nada>からStevie Wonder書き下ろしの<The Real Thing>まで、様々な曲がクラブ・キッズを中心に支持を得ているが、75年のこの作品は、そのStevieの影響を感じさせるソウルフルな内容(実際彼の曲も3曲が取り上げられている)。出色の出来はLeon Wareの生み出したスタンダード<If I Ever Lose This Heaven>。フリーソウル・バラードとして有名な<Davy>は今や和み系の定番となっている。
Sergio Mendes & The New Brasil 77/『same』

 75年作の『Sergio Mendes』と双璧を成す名盤。Bozの『Silk Degrees』に入っていた<Love Me Tomorrow>のカヴァーや、Chicagoの<If You Leave Me Now>のカヴァー、そして決定打は<The Real Thing>。Stevie Wonderの書き下ろし。そして数年前からクラブ・クラシックとして、その地位を確立していた名曲だ。他にも素通りが許されない聴き所がズラリ。個人的には、彼の作品の中でも五本指に入る位のフェイバリット。強力推薦!
Tom Grant/『Heart Of The City』

 ジャケに写る「ねこ」の文字。これは彼の顔が猫に似ている所から来ているとの事(そのまんま!爆)。現在もSmooth Jazzシーンで活躍している彼の84年リリースの4th。収録曲は当時流行っていたShakatakのイメージが見え隠れするものの、もう少し硬派なオリジナリティも持ち合わせている。注目は4曲あるヴォーカル・ナンバー(実質的には3曲だが...)。これがAOR色濃厚な作りでナイス!<Eye Of The Hurricane>はシャッフル・ビートを用いたポップなナンバーで、メロディの覚え易さも手伝って、アルバム中最も魅力的なナンバーに仕上がっている。バラードの<What You Do To Me>や、お約束のミディアム・フロウ<In A Special Way>の出来も素晴らしい。
Kenny Pore/『Inner City Dreams』

 真夜中の濃厚な雰囲気を演出するのに最高の効果を発揮しそうな、ムーディーでディープな1枚。注目はヴォーカル・ナンバー2曲。担当しているのは名盤『Gotta Have The Real Thing』と『Shouting At The Walls』で、AORファンにはすっかりお馴染みとなったRick Riso。CCMの中でもソウル的な表現の描写に関しては群を抜く存在だけに、ここで聴かれるナンバーは完全にブラコンそのものである。何と言ってもタイトル・ソングの出来が圧倒的。数あるミディアム・フロウの中でも群を抜く完成度だ。もう1曲の<Everyone Needs>も彼のソウルフルなヴォーカルが十分に堪能出来る。85年に出た『You Don't Know Me』にもRickは2曲に参加しており、いずれも素晴らしい出来を誇るのだが、1曲の破壊力という点ではやはりこのタイトル・ソングに勝るものは存在しない。
Joe Thomas/『Get In The Wind』

 マイアミ・サウンドのTKレーベル発。78年制作。ディスコを巧みに消化した音作り等々、Mellow Grooveファンには美味しい条件が揃いまくっている1枚。聴き所は何と言っても<Lowdown>。Brand New Funkが比較的Bozのオリジナルに忠実だったのに対し、こちらはメロウ度を更にアップさせて独自の魅力を引き立たせている。<Two Doors Down>は何とDolly Partonのカヴァー。KC&The Sunshine Bandのようなリズム・アレンジで原曲のイメージを完全に払拭している。また<Imaginary Lover>はAtlanta Rhythm Sectionのカヴァー。ややイージー・リスニング・ジャズ的なアレンジで取り立てて言う事はナシ(笑)。
 彼に関しては他のアルバムは知らないが(恥)、70年代初頭から結構な枚数をリリースしているらしい。
『Arthur Original Soundtrack』

 Burt Bacharachが81年に手掛けた映画のサントラ。Christopher Cross<Arthur's Theme(Best That You Can Do)(ニューヨーク・シティ・セレナーデ)>は、元々はこれの為に書かれた曲。他にもNicolette Larson、Ambrosia、Stephen Bishopのオリジナル・アルバム未収録曲が立ち並ぶ前半(レコードではA面...)を愛聴しまくった方も多いのでは?
それに引き替え完全にBGM化している後半(B面)は無視されている感が強いのだが、1曲だけどうしても聴き逃せない名曲が!その<Touch>は淡々としたビートに、Bacharachお約束の美しいメロディを重ねまくった逸品。前述の4曲しか聴いていないヒトは、この機会に改めて耳にして頂きたい。
Ricky Peterson/『Night Watch』

 David Sanborn等を手がけ、今や売れっ子プロデューサーとなった彼の出発点。90年発表らしく、打ち込みと生音を巧みに使い分けるあたりは、既に現在に通ずる才能の片鱗が伺える。とかくBill LaBountyの<Livin'It Up><Look Who's Lonely Now>、そしてPagesの<Take My Heart Away>。計3曲のカヴァーで語られがちだが、実は他のナンバーも聴き所多数。1曲目の<One Never Knows>は彼の持つ黒い感覚が、コンテンポラリーというフィルターを通して完成した逸品。マニアには人気の高いナンバーで、某知り合いのテクニシャン・バンドもライブでカヴァーしていた程である。また2曲目のタイトル・ソングも、ゆったりした雰囲気でありながら全体を支配する緊張感が、曲を更に印象深いものにしている。
B.Baker Chocolate Co/『B.Baker Chocolate Co』

 TK傘下のLester Radio Corpolationから79年に発表された作品。詳細は一切不明ながら、全編メロウに満ち溢れた心躍る1枚だ。ミディアム・アップなリズムに美麗なメロディが絡みつく、圧倒的な名曲<Snow Blower>。これまた美しさこの上ない<Carousel>。2枚の名盤で知られる、あのLew Kirtonがヴォーカルを努める<It's Where You're Comin From>などなど、都会の夜景が思い出されるナンバーの数々は、しばし嫌な現実を忘れさせてくれる。

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