Recommend Tracks/AOR.Pops6

Eddie Money/『Life For The Taking』

 意外なアルバムに意外な名曲が隠れている典型的な例。70年代後半〜80年代に大人気だった彼の当該作は、シンプルでハードなロックン・ロールの洪水。だがB面に収録されている<Maybe I'm A Fool>に驚きの色は隠せない筈。我々ヲヂサン世代には単なるLate70’sのナツメロ・ヒットだが、実は前後の繋ぎ方や曲構成で、信じられない程の効果を発揮するブルーアイド・ソウルに早変わりする。レコードは中古盤屋では¥100以下(場所によっては¥10...)だが、決して侮ることなかれ(CDで入手可)
Exile/『All There Is』

 80年代後半〜90年代前半は、カントリー・グループとしてヒットを連発していた彼ら。元々はソウル指向のAORバンドで、78年に全米No1に輝いた<Kiss You All Over>や、Rockie Robbinsのカヴァーが『Free Soul Parade』に収録された<You And Me>、Huey Lewis & The Newsがヒットさせた<Heart And Soul>等、注目曲も少なくない。今なら『AOR Light Mellow』に掲載された『Don't Leave Me This Way』で語った方が早いかも知れない。本作は79年発表の3rd。<How Could This Go Wrong>はディスコ仕立てだが、曲の展開の格好良さは圧倒的。<夜明けのライダー>の邦題で覚えている方もいるのでは?。アルバム中最高のナンバーが<Destiny>。ゆったりしたビートに魅力的なメロディが絡む逸品で、その楽曲の完成度は数あるブルーアイド・ソウルの中でも、相当なハイレベルである。一部で人気のブラコンのグループ、Woods Empireも81年作『Universal Love』で取り上げており、そちらもメロウ・クラシック化している。更に同タイプのタイトル・ソングや<Being In Love With You Is Easy>等の出来も良く、アルバム・トータルで推薦。
Helen Reddy/『Imagination』

 70年代に一世を風靡したシンガー。Alan O'Day作の<Angie Baby>が一番有名かな?このアルバムは83年に出た、彼女のアルバムの中でも一番AOR色が強い1枚。注目は<Heartbeat>。86年にあのDon Johnsonが全米Top10ヒットさせた曲のオリジナルである。ここではMelissa Manchesterの<You Should Here How She Talks About You>を彷彿とさせる、力強いヴァージョンによる解釈が成されている。但し他のナンバーはメロウな感触を携えており、あのDiana Rossが取り上げた<Let's Go Up>やPatti Austinの歌唱でも知られている<The Way I Feel>、Barry Mann作の秀逸ミディアム・フロウ<Handsome Dudes>、Dennis Lambert/Brian Potterによる<Yesterday Can't Hurt Me>あたりがいい感じだ。
Jefferson Starship/『Spitfire』

 後にStarship。そして元々はJefferson Airplaneである事はここで挙げなくてもお分かりであろう。さてこのアルバムは76年の3rd。アルバム全体の完成度は前作の『Red Octopus』や次作の『Earth』に譲るが、彼らの持つ自然なソウル感覚の描写はこちらの方に軍配が上がる。白眉は当時日本だけでシングルが出ていた<Love Lovely Love>。ゆったり目の2ステップ・ビートに哀愁メロディと泣きのギターが絡む逸品で、今の音楽シーンにジャスト・フィットする要素満載だ。作者はMarty Balinに<Hearts>の大ヒットを捧げ、自らも<Feeling For A Song>のFree Soul Hitを生み出したJesse Balish。他にも当時ヒットしたバラードの<With Your Love>、ファンキー・タッチの<Cruisin'>や<Hot Water>、ドラマティックな展開の<St Charles>等々、魅力的なナンバーが満載だ。レコードは上手くいけば¥100で入手出来るかも。
Delbert McClinton/『The Jealous Kind』

 60年代初頭から現在に至るまで活躍している、渋いヴォーカリスト/ハーモニカ奏者。彼の音楽はCountry、Blues、そして真のR&B(勿論リズム&ブルースね!爆)に深く根ざした、American Rock Spiritに満ち溢れている。本来ならばMellow Grooveで語るには勘違い甚だしい程なのだが、ここで取り上げたのはいつものお約束である、1曲の破壊力。その<Giving It Up For Your Love>は、81年当時全米でTop10にランクされた彼の最大ヒット。南部独特のイナたさを多分に含んでいながら、16ビートと決めの多いギターのカッティングを多用した、ダンサブルなナンバーだ。バックにはその筋のお約束(?)であるBonnie Bramlettや、何とRobert ByrneやLenny LeBlancも参加している。
Northbound/『same』

 『棚からわしづかみ』他、イベントを行う際には常に携帯している1枚。83年のリアル・タイムでもCiscoのミニ小冊子『Uptown Pops』にレビューが掲載された事で、一部のファンには知られている。CCMのグループだが、内容的にはAORとサーフ・ロックの中間を行く感じで、明るいナンバーが大半を占める。だが<Life Without Your Love>に関しては黒っぽい要素も随所で覗かせる、圧巻という言葉に相応しいミディアム・フロウ。哀愁系AORの<Maybe Tonight>も秀逸だ。
Little River Band/『First Under The Wire』

 圧倒的なスタンダード<Reminiscing>(邦題<追憶の甘い日々>)で語られるグループ。Stylusの紹介でも何度となく引き合いに出されているので、気になっている若い方も多いのでは?但し前述曲の収録アルバムはやや完成度が低いので、次作である当該作を選出。ソフトな感覚を全体に配し、ややハードなナンバーですらメロウな潤いを帯びた仕上がりを魅せている。ヒットした<Lonesome Loser>やバラードの<Cool Change>も良いが、ベスト・カットはミディアム・フロウの<By My Side>。メジャー系のメロディを存分に生かした明るいサウンド・メイキングは、いつ聴いてもクリスタルなあの頃を連想させる。<Mistress Of Mine>は前述曲と相対的な立場にあるマイナー調のメロディを聴かせるナンバーで、トレンディ・ドラマに使用されたら間違いなくヒットしそう。同タイプの<Middle Man>も推薦。
 77〜83年までは大活躍をしていたので、印象的な曲も数多い。77年の『Diamond Cocktail』収録の<Happy Anniversary>は、フリー・ソウラー悶絶絶対確実の逸品。またライブの『Backstage Pass』収録の<I Don't Worry No More>も隠れた名曲である。
The Keane Brothers/『same』

 あのJaye P Morganに続くDavid Fosterプロデュース2作目。そして長い間コレクターズ・アイテムとして存在が珍重されていた逸品である。デビュー曲の<Sherrie>は、82年に『Needless Freaking』(邦題『ストレンジャー・イン・パラダイス』Pro By David Foster)という傑作アルバムを残しているDwayne Fordの作品。勿論他も佳曲揃い。しかも当時彼らはまだ13歳&12歳というのに、演奏力は勿論、何と曲作りも担当し、既に才能開花の片鱗を感じさせている。ここのHPをご覧の方なら御存知と思われるが、80年代前半にTOTOの弟分バンドとして人気を博していたKeaneは、彼らの発展型である。
Player/『Room With A View』 

 言わずと知られた<Baby Come Back>で有名な彼らの3枚目。この作品は当時日本未発売。契約の関係なのか他に要因があるのかは、今となっては不明。したがってこのアルバムは、全5枚ある彼らの作品(ベストは除く)の中で最も印象の薄い存在になってしまった。また内容も然りで、抜群の完成度を誇っていた1st、2ndに比べると、嘆くしかないのだ。しかし何とも皮肉なことだが、ベスト・トラックに関しては彼らの残した全ての楽曲の中でも、屈指の出来となっている点だ。<It's For You>や<Givin'It All>は、私がミディアム・フロウという言葉を思い付いたきっかけとなった重要曲で、数多くのレコードを買い漁っているのは、その盤にこの2曲の幻影を求めているからなのだと、改めて認識するほどだ。また2ステップにややハードな展開を織り交ぜたスリリングな<Who Do You Think You Are>や、バラードの<Bad News Travel Fast>も極上。
David Dundas/『same』

 これは77年に発表された、英国産のSSWモノ。詳しい事はライナーに記されているので、ここでは省かせて頂く。ちなみに彼の名を初めて知ったのは、何と中学1年の事。76年に初めてラジオ関東(現ラジオ日本)の全米Top40(=FENのAmerican Top 40)の洗礼を受けた時に、ここに収録されていた<Jeans On>が流行していたのだ。しかし日本未発売の為、結局購入には至らず、いつしかラジオでも流れる事はなくなり、忘却の彼方へ葬り去られてしまったのだ(地味な曲でもあったから)。そんな曲を思い出したのは、Rhinoのコンピ『Have A Nice Day〜Vol 19』に収録されてから。さてAORと呼ぶには、まだまだ垢抜けていない部分が多いが、100%Beatles、Beach Boysの影響下にある、カラフルな色彩のポップ・ワールドは、聴き所が多数。白眉は<Hold On>。彼流<What's Going On>と言った趣のミディアム・フロウだ。

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五線譜2

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