Freeman's Index On The Web (10)

<Play That Funky Music>.....数年前にソニーのMD ウォークマンのCF曲として流れていた事でも有名だが、76年を代表するソウル・ヒットにして、クラシック・ロックとしても十分に通用する不変の名曲(事実RoxanneやThunder等、産業ロック系のバンドにカヴァーされている)。そしてこの曲が収録されているコンピは列挙に暇が無い程。今回はその曲の主であるWild Cherryにスポットを当てる。
 さて急造ディスコ・バンドと思いきや結構長いキャリアを誇っており、バンマス(多分)のRobert(Bob) Parissi(リード・ヴォーカル/ギター/コンポーザー/プロデューサー)は、何と14歳の時にニューヨークでMGMレコードと契約、そこで初レコーディングを経験している。その後McCoys(あのRick Derringerが在籍)やTerry Knight(後にGrand Funk Railroadのマネージャー/プロデューサー)、そしてBobby Vinton(<Mr.Lonely>などのヒットで知られているあのヒトか?)のレコーディングやツアーなどで活躍。20歳の時にオハイオに戻り結成したバンドが、このWild Cherry。1970年の事である。
 さてグループの由来だが、メンバーの一人が喉飴の缶を見ながら呟いた時、その缶に書かれていた文字が「Wild Cherry」。何という単純な理由であろうか(^^;;;)。そしてロック・バンドとしてスタート。勿論当時の音は聴いた事が無いのだが、経歴から察するに恐らくGrand Funkみたいな音を身上としていたのであろう。サウンドの変身のキッカケは、何とステージを見ていた客からの「Funkを演れ!」というリクエスト。その時のやりとりを歌にしたのが<Play〜>という訳だ。
 さて前述のヒット曲があまりに強烈過ぎたために単なる1発屋と思われがちだが、実は4枚もアルバムをリリースしている。順を追って紹介していこう。
『Wild Cherry』

 76年のデビュー盤。勿論<Play That Funky Music>収録。しかしはっきり言ってこれは手抜きが甚だしい。モータウン・クラシックの<99 1/2><Nowhere To Run>、そしてThe Commodoresの<I Feel Sanctified>の計3曲のカヴァー。そしてつまらんインスト1曲の全9曲。取り敢えずヒットが出たので作った急造作である事は否めない。いくら永遠のヒット曲があるとは言え、これが代表作として語られるのは、大いに不満である。
 それでも4曲は聴き所満載だ。<Play〜>はコメント不要。<The Lady Wants The Money>は、そのシングルにカップリングされていた
曲。テンポダウンして黒々とした雰囲気を醸し出す。途中のギターソロもソリッドで腰に来る。<Don't Go Near The Water>は、逆にテンポアップして迫力満点。しかしこの曲は完全なロックですなぁ。そして<Hold On>は、当HP名物(爆)のメロディアス・ミディアム・フロウだ。
『Electrified Funk』

 1年のインターヴァルでリリースの2nd。しかし先行シングルの<Baby Don't You Know>は<Play〜>から僅か半年後のリリース。この曲、完全な二番煎じな作りで、面白くも何ともない。アルバム全体も一応前作より出来は向上しているが、まだまだイモバンドの域を脱するには至らない。また曲によってはハンパなディスコなのに、ギターだけやたらロック(しかも表面上)しており、当時は相当に興奮したのだが、今聴くと決め手に欠けている部分が、妙に情けなく感じてしまう。しかし静寂の中に熱さを感じさせる、バラードの<The Closet On My Mind>、ストレートなファンクの<Hot To Trot>は、なかなかの聴き応えだ。また<Hold On>が再収録されているのだが、ストリングスがタップリと被さった大甘ヴァージョンへと変貌しており、個人的にはこちらの方が好みである。
 蛇足ながら<Holdin'On>(何かややこしい...)は、Santanaの<One Chain>(翌年発表の『Inner Secrets』収録)に激似である。御大が「やってしまった」のか?それとも彼らが「やってしまった」のか?(元々<One Chain>はZombiesのヒットなので)。今となっては謎である。
『I Love My Music』

 1年に1枚のお約束。という事で78年のリリース。そして出来が飛躍的に向上している。ロックなのかディスコなのか分からぬ優柔不断な路線に別れを告げ、練り込まれた楽曲を集結。更にメロウなアプローチを垣間見せ、全体的に洗練された印象を強く感じさせる。<It's The Same Old Song><This Old Heart Of Mine(Is Weak For You)>の2曲のモータウン・カヴァー収録。そしてオリジナルの<123 Kind Of Love>、<Fools Fall In Love>がモータウン的であったりと、苦笑を禁じ得ない場面も多いのだが、それを差し引いても、アルバムの素晴らしさは特筆モノ!タイトル曲やミディアムの<No Way Out Love Affair>が秀逸だ。バラードの<Try One More Time>も絶賛に値する出来映えだが、ヴォーカルがRod Stewart的(ワザと?)なのがイマイチ(笑)。
 尚蛇足ながら、ジャケットにメンバーが登場したのは今回初めて。これは無理にソウル・ファンをターゲットにする事を止め、幅広い層にアプローチをする事を意味しているのであろう。但し何故か日本盤のライナーには、1stの時点で既に彼らの写真が掲載。これは恐らくロック・ファンも購入のターゲットにしていたからではなかろうか?。確か2ndのライナーには、Aerosmithのファンにも推薦するような事が書いてあったと記憶している。
『Only The Wild Survive』

 アルバム毎に良くなる彼ら。79年リリースの当該作は、全4枚の中でも絶対の推薦盤だ。聴き応えのある曲を取り揃え、洗練度は更に飛躍。<Play〜>の幻影に悩まされる事なく、自分たちの演りたい音を如実に表現している。<Look At Her Dance>はRuss BallardのAOR作として知られる、『At The Third Stroke』からのナンバー。<Hold On To Your Hiney>は、Tony Joe Whiteが78年に出した、珠玉のソウル・アルバム『Eyes』収録曲。<All Night's All Right>はChaka Khanの79年作『Naughty』収録曲(但しリリースはこちらが先)。<Keep On Playin'That Funky Music>(何か意味深なタイトル...)は、Muscle Shoals Hornsの77年作『Doin'It To The Bone』(これも実は隠れた名盤!)収録と、渋めのカヴァーが多いのが特徴。しかしそれ以上にオリジナルの出来が素晴らしい。<Try To Piece Of My Love>はミッドナイト・メロウネスが染み渡る極上の逸品。<Don't Wait Too Long>はミディアム・テンポに泣きのメロディを存分に絡ませた、アルバム中ベストカット。ギターソロ1つとっても初期との違いは明白で、とても<Play〜>の彼らからは想像が付かない程だ。同タイプの<Starlight>の出来も圧倒的に素晴らしく、名盤の名に恥じない完成度だ。
 金澤寿和氏のブラコン本にも掲載。でも中古盤屋では3ケタで見ることも多いので、これを機に是非多くの方々に聴いて欲しい。
『Super Hits』(国内盤は+6)

 <Play〜>以外は大したヒット曲が無いにも関わらず、何とベスト・アルバムが登場である。しかし選曲は何かイマイチのものばかり。但し<I Love My Music><Try To Piece Of My Love><Hot To Trot>など、初CD化が嬉しいナンバーも多い。だが...しかし...<Hold On>に(With Strings)と書いてあったので、2ndのヴァージョンと思いきや、何と1stのものが収録...orz。
 国内盤にはボーナス・トラック6曲。だが冴えないものばかり。モータウン・カヴァー2曲は当然としても、<Are You Boogieing Around On Your Daddy><Dancin'Music Band>なんて完全なボケナス・トラック(爆)。それでも<Try One More Time>を加える所はガッツ・ポーズもの(笑)である。
 <Don't Wait Too Long><Starlight><No Way Out Love Affair>は無理にしても、せめて<Don't Go Near The Water><The Closet On My Mind>あたりは入れて欲しかった。


最初に戻ります

五線譜2

inserted by FC2 system