Freeman's Index On The Web (8)

● Tavaresはソウル・コーラスの入門グループ

今回はソウル・コーラス・グループのTavaresを取り上げたいと思う。
(以下は1981年のEarly Bird Notes氏ライナーからの引用)
 TavaresはJackson5、Sylvers等と同様にファミリー・グループである。メンバーはRalph“Vierra”、Arthur“Pooch”、Antone“Chubby”、Feliciano“Butch”、Perry“Tiny”のTavares兄弟。
元々は男7人、女3人の大所帯だったらしい。歌を歌うようになったのは父親がミュージシャンをやっていた関係で、自然な流れになったようだ。時には父親の弾くギターに合わせて、そして時にはアカペラで。
 その後に地元の小さなクラブに出演するようになった。最初はDel Riosというグループ名だったが、その後グループはChubby & The Turnpikesと改名をし、クラブ回りの活動をするようになる。この時期に<Cast A Spell/Nothing But Promises>というシングルが残されているが未聴である。
 Tavaresと改名するキッカケとなったのは、Laura Farana(誰?)の前座に出演した際の彼女のアドバイスによるもの。デビューのキッカケはその後グループ活動をしていた時に、ギタリストの提案でデモ・テープを作って売り込んだ事に始まる。この人物はJerry Butlerの音楽ディレクターをやっていた関係で、テープの収録曲は全てJerryの曲であったが、この中の<Check It Out>が、当時Capitolのブラック担当ディレクターをやっていたLarkin Arnoldに認められる。この売り込みには彼らと旧知の仲であるBrian Panellaという人物が、Capitolのディレクターに就任した事も見逃せない事実である。1973年、Tavaresの名で初めてのアルバムが完成する。

Discographity
『Check It Out』

 デビュー作にして、いきなりの大傑作である。プロデューサーはあのJohnny Bristol。自らのソロ・アルバムやBoz Scaggsの『Slow Dancer』で聴かせていた独自の都会派センスが、存分に生かされた内容となった。改名後のデビュー曲である<Check It Out>は、いきなり本領発揮の哀愁バラード。元はJerry Butlerの曲だったが、今となってはこちらの方が有名であろう。またメロディアス・アップの<If That's The Way You Want It>は『Free Soul Life』にも収録。幻想的な曲調と哀愁のメロディが絡み、絶品のムードをクリエイトする<Strangers In The Corner>、同曲を少しアップ・テンポに変え、Johnny節をふんだんに乗せたこみあげ系のミディアム・フロウ、<I'll Never Say Never Again>はアルバム中一番のフェイバリット。何度耳にしても胸が焦げる程だ。
 この作品は94年の『Suburbia Suite』にも掲載されていたが、今思えばこの時期のフリーソウルが、一番クリエイティヴだったと感じるのだが、いかがなものであろうか?
 
『Hard Core Portry』

 いきなりの路線大変更である。プロデューサーに迎えたのは、当時ダンヒル・サウンドの立役者として売り出し中であった、Dennis Lambert & Brian Pottar。前作のアーヴァン・ソウルから、白人マーケットを意識した内容へと大きく変貌。しかしグループ自体の人気も急上昇中だったので、好評を持って迎えられた。<She's Gone>は勿論Daryl Hall & John Oatesのカヴァーだが、このヴァージョンがヒットした事によりオリジナルにもスポットが当たり、76年に再ヒットしたのは有名な話。今回は明るいポップソングが多く、中には純粋にソウルと呼べないものも存在するが、曲自体が魅力に溢れたモノであり、彼らのヴォーカル・ワークはソウルそのものなので、何ら違和感は無い。他には当時ヒットした哀愁系の<Too Late>、Stevie Wonderを意識した曲調の<Someone To Go Home To>あたりがイイ感じ。
『In The City』

 製作陣は前作と同じ。相違点は当時の時代の希求の一つであった、ディスコ・サウンドの要素を大幅に取り入れた事であろう。その路線を推進した1曲<It Only Tales A Minute>(邦題<愛のディスコ・ティック>)は、全米ポップ・チャートでベスト10入りを果たし彼ら最大のヒットとなる。日本ではダンス・クラシックとして現在でも人気が高い。他はEdgar Winterのナンバーを取り上げた<Free Ride>が秀逸。かなり異色の畑の曲にトライした訳だが、その意外性が好評を博し、これまたスマッシュ・ヒットを記録する。他は前作と同路線だが、<The Love I Never Had>等、ミディアム〜バラードの充実には目を見張るモノがある。
 ちなみにタイトル・ソングとAWBのカヴァーである<Nothing You Can Do>あたりの跳ね系のリズム・センスは、恐らくKeyで参加しているMichael Omartianの力量に依る所が大きいと思われる。
『Sky High』

 前作の大ヒットですっかり勢いづいた彼らは、製作陣に当時MiraclesやSylversを手掛けて全米No1のヒットを生み出した、Freddie Perrenを起用。ますますディスコ色を強めていく。<Heaven Must Be Missing An Angel>(邦題<ディスコ天国>)、<Don't Take Away The Music>(同<愛のディスコ・ミュージック>)の2曲は、彼らを語る上で欠かせない程の大ヒットを記録した。が、他の楽曲はかなりバラエティに富んでおり、凡百ディスコ作とは二味も三味も違う作品に仕上がっている。半分はミディアム〜バラードで構成されており、抜群のメロディ・ラインに緩やかなリズム、そして絶品のハーモニーが絡む<Ridin'High>、同曲を哀愁系のスローに仕立て上げた様な<Wonderful>の出来が圧倒的だ。
『Love Storm』

 再びFreddie Parrenを迎えての作品。前作との相違点は殆ど感じられない。但しディスコに日和っていたアップ・ナンバーが幾分軌道修正され、洗練された都会的センスが随所で聴かれる様になった。それはシングル第一弾に切られた<Whodunit>に顕著で、ややモータウン的なニュアンスを含みながら、嫌みのないスマートなノリで進行していく有様は彼らの独壇場。同曲にこみ上げ系のメロディを加えた<I Wanna See You Soon>は、アルバム中ダントツのベスト・カット。時々聴かれる女性VOは、あのFreda Payneによるものだ。またミディアム〜バラードが充実しており、1956年にJesse Belvinというヒト(不勉強なので良く知らない...恥)がヒットさせた<Goodnight My Love>は、彼らがオーソドックスなソウル・コーラスもイケる事を、十二分に証明出来るモノである。
『Future Bound』

 サントラ『Saturday Night Fever』を経て、78年に発表された作品。しかし曲はストレート・ディスコ路線が目立ち、優れた内容を誇る彼らの作品の中では、最も立場が悪いものとなってしまった。バラードの<All I See Is You>や<Feel So Good>は確かに良いのだが、それでも前作と比較すると完成度の違いは歴然。結局ベスト・カットは、『Saturday〜』収録の<More Than A Woman>となってしまうのが悲しい。3作連続同じスタッフでの制作は初めてのことだが、残念ながらここでは全く冴えが見られない。この後Freddie Perrenが手掛けたPeaches&HarbやGloria Gaynorが、いずれも大ヒット&充実内容になった事は、Tavaresにとっては何とも皮肉である。
『Madam Butterfly』

 汚名挽回か?制作にフィラデルフィアの大御所で、当時L.T.Dを当てていたBobby Martinを起用。前作からは想像も付かないようなアダルトな作品に仕上がった。特に注目すべき点は大袈裟なストリングスを極力廃し、サウンドに押さえを利かせる事により、彼らのコーラス・ワークをより一層引き立てる効果を生みだした事であろう。<Dancin'>のヒットを持つGrey And Hanksによるミディアム・バラード、<Never Had A Love Like This Before>が白眉の出来。シングル・ヒットも記録している。またフリーソウル関係で有名なLeo's Sunshipのメロディアス・ミディアムを取り上げたタイトル・ソングと、<I'm Back For More>も素晴らしい。後者はJean CarneやMarlena Shawも歌っているが、80年のAl Johnsonのヴァージョンが一番有名であろう。勿論他のナンバーも秀逸で、個人的に最も自信を持って推薦したい作品である。
 余談だがこの作品の日本での売り方は、疑問符が多く付くモノであった。日本でのシングルはアップの<Straight From The Heart>であったが、邦題を<ディスコ一直線>と付けた上に、そのジャケットを当時流行していた漫画<東大一直線>を起用する有様。納得する部分もあるのだが、収録アルバムの指向性を考えると的外れであったとしか言いようがない。
『Supercharged』

 充実を極めた前作だったが、ここで再び製作陣をガラリと変えている。Benjamin Wright、Bobby Colomby(元BS&T。Pagesのプロデュースが有名)、そして何とあのDavid Fosterもプロデュースに参加している。しかも取り上げたのは当時入手困難盤として存在が希少価値とされていた、Bill Champlinの『Singles』から<I Don't Want You Anymore>、<We Both Tried>のカヴァー2曲である。こちらのヴァージョンにもオリジネイターのBillは勿論、Steve LukatherやJay Graydon、David Hungate等が参加。見事な仕上がりぶりを魅せている。珍しくRalphがリードで活躍する<Bad Times>は、産業AORの秀作2枚(もっとあるかも?)を持つGerard McMahonによるミディアム・フロウで、雰囲気は完全にPagesそのものである。同曲をメジャー・メロディに仕立て直した明るい雰囲気の<Why Can't We Fall In Love>は、Deniece Williamsの『When Love Come Calling』(これにもDavid Fosterが制作に絡んでいる)収録曲のカヴァー。バラードの<Paradise>もPages的な楽曲で、個人的には一番の推薦曲である。
 AORファンにとっては名盤と言われ続け、CD化も実現して(今は廃盤...orz)いるが、純粋なソウル・ファンには興味の対象外とさえ言われてしまった、気の毒な作品である。
『Love Uprising』

 一時期の爆発的人気からは遠ざかっていたが、ソウル・チャートでは安定したヒットを出し続けていたこの頃。秀逸な内容のアルバムを発表する一方で1作毎にプロデューサーを変えたりと、実は迷走していたのではなかろうか?今回は前作で4曲手掛けていたBenjaman Wrightが全編を担当。しかし印象はかなり地味である。但し楽曲的には佳曲が多く、勢いのある<Only One I Need To Love>や、話題のグループPiecesのGeoffrey Leib作による<She Can't Wait Forever>(84年にGeorge Dukeも取り上げる)などは、珠玉の名曲と呼ぶに相応しい出来映えだ。あとベスト・カットの<Knock The Walls Down>は、Steve Kipnerのあの名盤のタイトル・ソングだ。決して悪い作品ではないので、誤解はしないで欲しい。
『Loveline』

 前作は彼らとしてはやや煮詰まりを感じていたのか、ここで製作陣を思い切って変更。プロデュースはAlan Abrahamsという訳分からんヒト(をい)だが、ソングライティングは注目所を大きくフィーチャー。目玉は当時Evelyn King等に関与し、注目を集めていたKashifの楽曲であろう。タイトル曲と<Keep On>、<Right On Time>は当時の彼のクリエイティヴな才能が遺憾なく発揮された逸品で、特にタイトル曲は<Love Come Down>の彼ら流解釈と言っても差し支えがない程に格別である。ミディアム〜バラードは前述の<Right〜>を含め、5曲収録されておりどれも秀逸だが、白眉は<Turn Out The Nightlight>と<God Bless You>。前者は狂おしいまでのメロディ進行が胸を焦がす。この辺の雰囲気の演出は正にButchの独壇場。後者はBrenda Russell作で、彼女の1stのエンディングを飾っていた感動のバラード。彼らは持ち前のコーラス&ハーモニーを駆使し、オリジナルを遙かに超越したヴァージョンに仕上げた。
 他も駄曲は皆無で、このアルバムを彼らの最高傑作とする輩が多いのも頷ける程に、優れたアルバムである。
『New Directions』

 長年在籍していたCapitolを離れ、RCAに移籍しての第一弾。A面がスローサイド、B面がダンス・サイドという、当時のWhispersあたりを意識した作りとなっている。やはりA面が大きな聴き所となっており、<A Penny For Your Thoughts>は、<I Like Dreamin'>のヒットで有名なKenny Nolan作(彼は計4曲を書き下ろし、プロデュースも担当している)による甘いムードに満ち溢れたバラードで、実に4年半ぶりに総合チャートでTop30入りするヒットとなった。<I Hope You'll Be Very Unhappy Without Me>はBill LaBounty作で、あの『This Night Want Last Forever』にも収録されていたが、濃厚なコ−ラス&ハーモニーで原曲を驚愕するヴァージョンとなっている。
 移籍が関係したのか、彼らのトレード・マークであったロゴがジャケットから消えている。
『Words And Music』

 当時敏腕プロデューサーの名を欲しいままにしたLeon Sylvers IIIを迎え、打ち込みが利いたダンス・ナンバーをクリエイト。但し中心となっているのはLeonの片腕Dana Meyers。<Deeper In Love>はShalamar、Dynastyを彷彿とさせる典型的な80’s Solar Soundで、当然の如く大ヒットした。そんな彼らによる活気に満ち溢れた楽曲が立ち並ぶA面に対して、B面がやや平坦なのが気になる所。ちなみに前作を当てたKenny Nolanも2曲の製作陣に名を連ねており、<Us And Love>は彼自身が79年に発表した『Night Miracle』に収録されていたものだ。
 これ以降オリジナル・アルバムの発表は途絶えてしまう。
『Tavares Live』

 実は同じ時期にもう一種類ライブが出ているのだが、曲順を変えただけで選曲は全く同じ。恐らく同じブツであろう。内容的にはベストと言っても差し支えがないモノで、収録されたのは多分80年代前半ではないかと推測される。何故ならば1曲カヴァーをやっており、それは何とGeorge Bensonの<Turn Your Love Around>なのだ。かなり聴き所タップリのヴァージョンに仕上がっているので、是非GeorgeやBill Champlinと聴き比べて頂きたい。
 ちなみにこのOld School Concertsシリーズからは、The Real ThingやRose Royse、Sister Sledgeなども出ている。


 その後グループは3人となり(Ralph&Tinyが脱退)、Robbie Nevilの<Cest'La Vie>のカヴァーを発表しているが、アルバムの発表には至っていない。しかし88年に代表曲である<More Than A Woman>や<It Only Takes A Minute>、<Heaven Must Be Missing An Angel>等がリミックスされ、イギリスでヒットを記録した。現在の活動状況はよく分からないのだが、今でもクラブあたりでナツメロ・ショーを展開しているのであろう。

おまけ

Victor Tavares/『same』

 恐らくTavares Familyの末男ではなかろうか?(男は7人居るとの事なので...)。プロデュースはBenjamin WrightとButchが担当。彼はキーボード・プレイヤーとしても貢献している。リリースは81年。いかにも80年代初頭らしいお洒落指向のダンス・ナンバーが大半を占めるが、全体を通すと少し印象が弱い。それでもミディアム・アップの<Solid Gold>や、スローの<Going Through The Motions Of Love>等は決して悪くない。<Then You Can Tell Me Goodbye>は<My Angel Baby>で有名なToby Beauもカヴァーしていたスタンダードである。


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五線譜2

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