Freeman's Index On The Web (9)

● Rubicon伝説は実在した!

 私がかつて主催していたイベントの一つに『産業Night』というものがある。これは70年代と80年代を中心に90年代、そして時には今世紀に出たMelodious Rockをかけるものだが、ここでDJの皆様が必ずかけていたのがNight Ranger。当時彼らが与えた影響力がいかに強大であった事が、この事実が物語っている。
 さてポイントはメンバーのBrad Gillis、Jack Blades、Kelly Keagyのお3方。彼らは70年代後半には、既にミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせていたのだ。それがRubicon。愛聴し続けて25年。長年のフェイバリット・グループである。
 Rubiconだが、母体を辿るとあのSly & Family Stoneに行き着く。その理由はバンマスでサックスのJerry Martiniが在籍していたからだ(ちなみにSlyにバンド結成の誘いをかけたのは彼の方からで、このキッカケが無ければ、あの名グループは誕生していなかったのかも知れない)。彼は全時代を通して参加。あのウッド・ストックも勿論経験している(ちなみにSlyの初来日公演にも同行)。そして御大がドラッグで再起不能となり、活動停止を余儀なくされたのを機に、自らのバンド結成に踏み切った訳だ。
 集まったメンバーは才人揃いだ。Max Haskettは元Cold Blood。あのLydia Penseとヴォーカルを分け合った事実が証明するように、その巧さは圧倒的で正にブルー・アイド・ソウル。Felix Cavariere(Rascals)やDavid Clayton Thomas(BS&T)、Jerry Lacroix(BS&T〜Rare Earth)あたりを引き合いに出しても良いほどだ。そしてとてつもなく幅広い音域の持ち主。それこそLydiaのような女性のハイトーン・パートも、余裕で歌いこなせてしまいそうな程だ。勿論ソング・ライターとしての才能も超一流で、彼の都会的センスがバンドの音楽性をSly〜の亜流に留まらない、幅広いモノにしていると言えよう。優しい囁きのようなヴォーカルを聴かせるのはサックスのDennis Marsellino。Sly StoneやElvin Bishopとのセッションを経てJerryと知り合い、バンド立ち上げに参加したものと思われる。ちなみに演技の勉強をしていた時期があり、バンドでも一番目立つ存在だそうだ。ルックスもか〜なりインパクトがある。実は今でも現役で、『New Beginning』『Tenderly』などのアルバムを発表している。また最近では作家としても活動を行っているようだ。
Jim Pugh(Key)はメンバーで唯一本格的な音楽教育を受けたヒト。そのプレイはエキサイティングの一言で、彼の情熱的なオルガン・プレイが曲の持つ迫力を更に上へと押し上げている。彼に関して少し調べたのだが、バンド後の情報が不明である。出てくるのはTrombone奏者ばかり。何となく顔が似ている気もするが、多分同名異人であろう。
そしてGreg Eckler(Dr)は要注目。バスドラを2本使用する彼のプレイは超重量級(そう言えば某音楽ライター氏のDrプレイは彼に酷似しているなぁ.....蛇足スミマセン)。しかもリズム・マンでありながら最高のヴォーカリストであり、そしてソング・ライティングにも才を魅せるお方。個人的にも好きなメンバーでもある(ちなみに彼の脱退後に加入したのがKellyという訳だ)。
ちなみにJack Bladesはここでは何とチョッパーを必殺武器に暴れまくっているのだ。しかもLarry Graham直系のボトムの重いプレイで、Night Rangerのファンは難色を示すに相違ない。しかし私は逆のパターンでなので、彼がチョッパーを止め、ヴォーカルに徹した事実の方が驚きだったのである。
 
 『Rubicon』

 77年にデビュー・アルバムを発表(邦題『シスコの熱風』)。Sly直系の強靱なリズムとベイエリア独特のうねり、切れ味鋭いホーン・セクション。更にはハード・ロックをも飲み込んだ強力なサウンドはすぐに話題となる。シングルの<I'm Gonna Take Care Of Everything>(邦題、炎の誘惑)は、男の悲哀を切々と歌い上げる3分39秒の感動的な叙情詩で、翌78年にTop30に入るスマッシュ・ヒットを記録。バラードをデビュー曲にするあたりは、既成のベイエリア・バンドとは一線を画す、グループの新生面のアプローチに対するJerryの絶対的な自信が伺える。勿論他にも名曲揃い。<Far Away>はこれまたMaxによる哀愁味全開のバラード。タイトルもそうだが、曲調もCarole Kingの<So Far Away>を彷彿とさせる美麗なものだ。<Vanilla Gorilla>はStevie Wonder的なイントロから、リズム・セクションの洪水へとなだれ込む激重ファンク(実はこの曲のプロモがあの『ぎんざNOW』で流れ、そのままレコード店に走ったのだ。当時は中3。この頃から暴走購入の素質があったのか?(自爆))。<Closely>はハードなギターとDennisのVOのコントラストが絶妙なヘヴィーな曲。<All For The Show>はGregのソウルフルなVOが存分に堪能出来るバラード。しかしMaxのロマンティック路線とは異なる、どこかサザン・ソウルを彷彿とさせる渋い雰囲気を持っている。そして<That's The Way Things Are>は聴き手をその迫力でねじ伏せるような圧倒的なナンバー。中半からのBとDrの掛け合いは壮絶の一言に尽きる。
 ちなみにジャケットは長岡秀星氏によるもの。そう言えばこのヒトにもはまったなぁ〜(遠い目)。
『California Jam2/Various Artists』

 順風満帆なデビューを果たしたRubicon。その象徴とも言えるのが78年に行われたCalifornia Jam2への参加だ。彼らは何とあのAerosmithを差し置いてトリを努めたのだ。日本でもこの時の映像がTVで放映されたらしいのだが、当然未見(泣)。ステージは壮絶の一言に尽きたらしい(更に泣)。ここで披露されたのはブッ飛びの<That's〜>との事だが(もっともっと泣)、アルバムに収録されたのは未発表の2曲。まず<Never Gonna Leave>は彼らお得意のファンク仕立て。MaxのエキサイトなVOが聴きモノ。<Too Hot To Handle>も同タイプだが、こちらの方が少しハード・ロックロック仕立てか?
『America Dreams』

 79年に発表した2nd(邦題『夢のアメリカ』)。特徴としてはBradのギターを前面に押し出し、彼らのロック・バンドとしての側面を強調した作りが成されている。<Love On The Run>はホーンが入らなければ、完全に別グループと呼んでも差し支えがない位のメタリックなナンバーだが、他はハードでありながら、前作をキッチリ踏襲している。<Hungry For Your Love>は淡々としながらも、一筋縄ではいかない雰囲気を持つファンク。サビになるといきなり豪快になる所は、彼らの独壇場か(笑)。ベースの進行がとてつもなく重い<Let Yourself Go>は、アルバム中最もヘヴィー。ミディアムの<Eyes Of Mary>は印象的なKeyのリフとDennisのVOが、筆舌に尽くしがたい色っぽさを醸し出している。バラードは2曲に減ったものの、いずれも絶賛に値する素晴らしさだ。<Washington73>はMaxの持つロマンティシズムが、存分に発揮された逸品。後半のコーラス/ハーモニーとの掛け合いは、何度耳にしても鳥肌が立つ。そして<Too Good To Take For Granted>は問答無用のベスト・カット。神秘的とさえ言えるメロウ・ナンバーで、ここでのDennisのVOの色っぽさは正に究極!
Session Works(皆様からの情報をお待ちしております)。
Graham Central Station/『Now Do U Wanna Dance』

Jerryのお仲間。Larry Graham率いる名グループが77年に出した5th。ここにJerry、Max、Dennisのホーン隊が参加。ソリッドでイケてるプレイが随所で聴ける。あと数曲でRubiconに通ずる音作りが存在しているのが興味深い。特にAl Green(我々にとってはHamish Stewartを迎えたDavid Sanbornのライブ・ヴァージョンの方が有名か?)の<Love And Happiness>における展開は、間違えなく影響を与えていると断言出来るであろう。
Night Ranger/『Big Life』

はっきり言って「産業」だが、どうしても逃せない事実が一つ。ここに何とMax Haskettの名がクレジットされているのだ。他のメンバーとは分からないが、MaxとBrad,Jack,Kellyとは円満な人間関係が続いていた事が証明された訳ですな(まあ優しそうなヒトだし.....)。しかしサウンドこそ違えど、かつての仲間との共演は感慨深いものがある。

その後のメンバーについては私も知らない部分が多く、本来ならば無視しても構わないのだが、どうしても一つだけ振れておかなければならない事がある。Max Haskettが亡くなっていたのだ(号泣)。Rubicon解散後は色々なセッションで活躍し、91年にはTodd Rundgrenの来日公演にも同行していた。あの声を聴くことが2度と無い事を考えると残念で仕方がない。
合掌!

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五線譜2

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