Freeman's Index On The Web (6)

● Rare Earthとは..... 

流れるようなギターに絡むストリングス。メロウでダンサブルな曲調。珠玉のFree Soulナンバー<My Eyes Only>が、数年の時を経てクラブ・ヒットし、多少ながら知名度が上がった(と、勝手に思っている)Rare Earth。今回は10枚以上のアルバムを発表し、ファンキー・ロックの先駆者的立場となった、彼らの史跡を追ってみたい。
 さてRare Earthとは、元々はMotownが白人リスナー獲得の為に開拓したレーベル名である。OdysseyやPuzzleで有名なMowestのオープンは数年後。この事実は彼らの音楽性が時代に先駆けていた事の証明であろう。当時彼らはSunlinersと名乗っていたのだが、同レーベルと契約する際に、看板アーティストとなるべく名前を変更している。そしてRare Earth(レーベル名の方)は、77年にProdicalと名義変更しているが、その直後の78年に契約したのが、あのStylusだったという事も、見逃せない出来事だ。
 メンバーは出入りが激しいが、核となるのはSaxのGil Bridges(バンマス)、DrのPeter(Pete)Hoorelbeke(Rivera)は何とリード・ヴォーカリストである。ソウルフルで男臭いヴォーカルは天下一品。あとは『Ecology』から(もしかしたら『Generations』から?)参加のPercのEddie Guzman。山賊みたいなルックス(失礼)は、一度見たら忘れられない程のインパクトがある。
Dreams/Answers』

 Jazzで有名なVerveから出ているが、持っていないので詳細は分からず。1曲しか知らないが、<King Of A Rainy Country>は、かなりストレートなR&B(昔の方...分かりますよね)マナーの逸品。プロデュースにはDennis Coffeyが絡んでいる。
『Get Ready』

 1969年、Temptationsのヒットでも有名なタイトル・ソングを疑似ライブにアレンジ。デビュー曲として発表した。結果は全米4位のヒットとばかりでなく、1970度の年間チャートでも17位を記録。しかも日本ではその後数年に渡ってロング・セラーを記録。初期ディスコ・ブームでも大いに重宝され、「Get Ready」なるステップまで誕生した程だ。現在でもクラブのオールディーズ・ナイトの定番となっているらしい。 
 しかしアルバムの方はヒットに便乗して急遽制作された感が強く、<Tobacco Road><Feeling Alright>のカヴァー等、聴き所はあるものの、総じて出来は今一つ。しかもタイトル・ソングは20分7秒に引き伸ばされてしまい、冗長な感は否めない。
Generation』

 これが正式な2ndとなる予定だったのだが、何故か未発表に終わってしまった。詳細は不明。私は2曲しか知らないのだが、タイトル・ソングはCCRを思わせる雰囲気で悪くない。もう1曲の<Child Of Fortune〜One World>は何と13分20秒に及ぶ大作。しかも緊張感溢れる演奏ぶりで、全く飽きさせない。当時出なかったのが信じられないほどの完成度だ。恐らくレーベルの上役の好みの問題だったのではなかろうか?
『Ecology』

 急造作的な質しか感じられなかった前作とは打って変わり、大分こなれた曲が多くなった。そして洒落た雰囲気も随所で感じる事が出来る。1stシングルの<(I Know) I'm Losing You>はまたもTemptationsのカヴァーだが、2ndシングルとなった<Born To Wonder>では、フルートを交えて洗練された感覚を演出、テンポもミディアムでどこかクール・ダウンしており、パワーで押し切る今までの彼らから一皮脱皮した逸品。他にも秀曲が多く、どこか哀愁味を帯びたメロディが魅力的な<Long Time Leavin'>、エキサイティングな<Satisfaction Guaranteed>、殆どプログレと言っても良い位の<No1 Man>等々、全体の完成度は極めて高い。
『One World』

 KeyがMark Olson、GtがRay Monetteにチェンジ。この二人、前任者に負けず劣らずの凄腕の持ち主で、特にMarkの強烈なアタックを駆使した鍵盤さばきは、他のメンバーにも多大なる影響を与え、アンサンブルが飛躍的に向上した。そして前作で提示した都会派指向のサウンド・カラーも更に深みを増し、彼らの最高傑作と呼ぶに相応しい名盤がここに誕生した。Ray Charlesの名曲<What'd I Say>のハード・ロック的解釈を始め、シングル・ヒットも記録した、圧倒的な迫力の<I Just Want To Celebrate>、ドラマティックな<If I Die>等、ハードでメタリック、そしてソウルフルなサウンドが理屈抜きに楽しめる。
『In Concert』

 そして最強ラインナップで臨んだ白熱のツアーの実況盤を発表。人気も絶頂期にあり、グループとしての勢いが、どの曲からもひしひしと伝わってくる。選曲もベストと言っても差し支えがない程。しかも何れもがスタジオ盤を超越した出来映えを魅せている。<Get Ready>は相変わらず長いが、演奏力がアップした分、全く飽きさせない作りとなった(特にRay Monetteのギターが凄まじい!)。
 <What'd I Say>のライブ・ヴァージョンがシングル・ヒット。<Thoughts><Nice To Be With You>(後者はスタジオ録音)は、ここで初めて発表された曲だ。
 ちなみにアナログは2枚組で変形ジャケット。しかもステージの模様の写真集(と言う程豪華なモノではないが...)付きだった。
『Willie Remembers』

 BがMichael Ursoに代わったものの大きな変化は見られず。これも最強ラインナップと呼んでも、全く差し支えがないだろう。演奏も覇気が漲った力強いものである。しかし残念な事に楽曲からソウルの要素が消滅。ハードでドライヴィングするロックン・ロールが大半を占めてしまう。CCRとかDoobie Brothers(Tom Johnston在籍時)への意識が露骨に感じられてしまい、オリジナリティの欠如はファンを落胆させた。唯一<We're Gonna Have A Good Time>が従来通りのファンキー路線。チャート上でも不発となってしまい(90位)、これ以降しばらく苦戦を強いられる事になる。
『MA』

 タイトル・ソングはTempsの『Masterpiece』収録曲をカヴァーしたもの。しかもまたもや冗長に引き伸ばされた。<Get Ready>の夢を再び!とでも言いたいのか?しかも出来は今一つ。一応ソウル・チャートでは12位に入ったが(ポップは65位)、全盛期の勢いはここにはない。
 <Smiling Faces Sometimes>(これはUndisputed Truthのヒットの方が有名)<Hum Along The Dance>と計3曲もTempsのカヴァーが入っているので逃げ腰になりがちだが、後者はなかなか素晴らしい。Led Zeppelinあたりを意識したハードでヘヴィーな解釈は、熱気に満ち溢れた壮絶なモノで、オリジナルを遙かに超越している。あと<Big John Is My Name>も、久々にソウルフルなRare Earthが満喫出来る逸品だ。
Back To Earth』

 このアルバムで最強メンバーに亀裂が走る。ソウルフルなヴォーカルと骨太ビートで、グループの看板的な役割を担っていたPete Riveraと、グループ急成長の立役者Mark、そしてMichaelも脱退。代わりに一時期BS&Tに在籍していたJerry Lacroix、Stevie Wonderと活動を共にしていたReggie McBride(黒人)、他二人が加入。心機一転で制作された1枚。全体の出来は平凡ながら、Jerryのファンキー・フィーリングを十分に生かした<Keepin' Me Out Of The Storm>、あたかも『Ecology』の頃に戻ったかの様な<It Makes You Happy>あたりは聴き所。チャートでは59位を記録するが、アルバムのHot 100入りは、これにて終止符が打たれた。
『Midnight Lady』

 何とTempsのサイケ化に多大なる貢献を果たした、Norman Whitfieldがプロデュースを担当した意欲作...と言いたいのだが、これまた平凡な出来。勿論良い曲もある。軽快なリズムにストリングスを絡め、ポップに仕上げたタイトル・ソングや、Jerryの男気溢れる歌唱力(上手さに於いては、Peteより上かも)が楽しめるファンキーな<It's A Natural>や、Normanお得意のサイケ・ファンク調の<Do It Right>あたりはナイスな出来なのだが、全体を通すと決め手に欠けてしまう。何となくメンバー間のコミュニケーションがあまり取れていないような...そんな葛藤が音に反映してしまった様だ。
『Rare Earth』

 シンプルにグループ名をアルバム・タイトルに冠する所は、復活的な意味合いを持つ1枚だろう。その証拠にMichael、そして何とPeteが復帰している。前任のJerry Lacroixは上手すぎる位の喉の持ち主だったのだが、やはり彼の声ナシでは、Rare Earthとは呼べないであろう。内容もかなり持ち直し、コンテンポラリー路線の消化も随所で試みが見られる。荒々しさと都会派感覚が同次元で自己主張を奏でる、<Love Has Lifted Me><Is Your Teacher Cool?>。暑苦しさ一杯(爆)の<Tin Can People>で復活を実感。そして幻想的かつポップの香り高き<Share My Love>は、久々に珠玉の名曲と呼べるモノとなった。蛇足ながら何故かGtのRayが、この作品のみグループを離れている。
『Band Together』

 そのRayが戻り、そして灼熱のKey奏者Mark Olsonまで復帰。歴代最高の布陣が再び顔を揃えたのだ。そして誕生したこの作品は、後期の中でも傑出した傑作となった。78年当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった、BeeGeesの書き下ろしによる、<Warm Ride>が問答無用に秀逸だ。ややディスコ的だが非常に熱く、かつ十分に洗練されており、Pre-AORとしても通用する要素も十分だ。何と6年半ぶりにシングル・チャートでTop40入りを果たし、39位を記録している。
但しコンテンポラリー指向なのはこの曲位で、あとは骨太のナンバーが大半を占める。<You><Love Do Me Right><Mota Molata>で聴かれるロックン・ソウルは、彼らの完全復活を強く印象づけるものだ。
『Grand Slam』

 何と前作からたった半年のインターバルで出てしまった作品。いかのこの時期の彼らが精力的だったか、この事実が証明している。しかし妙な焦りが音に出てしまい、全体を通すと完成度の低さに唖然となる。<I Heard It Through The Grapevine>(悲しいうわさ)や<I Wish It Would Rain>(雨に願いを)等、今更的なカヴァーが要因か?だが単体では良い曲も多く、その中の1つが、クラブ・シーンで再評価された<My Eyes Only>だ。他にもBee GeesのBarry Gibbが再び書き下ろした<Save Me,Save Me>や、Tata Vegaがヴォーカルに参加した、軽快な<You Got My Love>あたりは流石と言える出来映えだ。時流をふまえ(AORブーム間近だし...)じっくり曲を吟味すれば、それなりの1枚となったであろう。非常に残念である。
1、『Earth Tones-Essential Rare Earth 』
2、『Anthology』
3、『Greatest Hits And Rare Classics』


 LP時代から数限りなくベストを出しているが、CDも現在は膨大な量が出ている。その中でお薦めはこの3枚。1は何と<Get Ready><Ma><(I Know) I'm Losing You>が、オリジナル・ロング・ヴァージョンにて収録されている他、<Warm Ride>が12inchヴァージョンで収められている。2は未発表曲がふんだんに入った2枚組のお買い得盤。前身バンドであるSunliners時代の楽曲や『Generations』の曲は、ここでようやく聴く事が出来た。そして3にもアルバム未収録の曲がタップリと収録。2に収められていない曲も多い。
 ちなみに『One World』と『In Concert』の間に、スタジオ・アルバム未収録の<Hey Big Brother>というヒット曲が存在する。ベストが多いのは、この曲の存在が要因かも知れない。
 一応これでRare Earthの活動は終了するのだが、何と93年に『Different World』というアルバムが出ているらしいのだ。しかしメンバー、収録曲等の詳細は一切不明。御存知の方は是非ともHELPを
『Fill Your Head : The Studio Albums 1969-1974(Limited Edition) 』

 最後にどうしてもふれておきたい作品を。これは『Get Ready』『Ecology』『One World』『Willie Remenbers』『Ma』の5作品を3枚組Boxにまとめたもの。シングル・ヴァージョンや<Hey Big Brother>のように、シングル・リリースのみの曲も収録されており、勿論リマスターが施されている。
『One World』『Willie Remenbers』は、ここでのみ全曲CD化が実現している。

おまけ

Hub/『same』

 これはPeter Hoorelbeke(Rivera)がMichael Ursoと共に、一時期Rare Earthから離れていた時期に組んだグループ。彼らに多くの楽曲を提供し、プロデュースまで担当をしていたTom Bairdも、メンバーの一人として加わっている。しかし内容は普通のロックで、Rare Earthと比べるのが恥ずかしい位だ。それでも<Think About It>は、ファンキーでなかなか聴かせる。<Anyone Who Had A Heart><You're All I Need To Get By><Sail Away>等のカヴァーもあり。ちなみにあのJay Graydonが、セッションに参加している。
 この後にもう1枚、『Cheata』というアルバムも出ている。

 

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五線譜2

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