Freeman's Index On The Web (5)

FoxyはSexyなバンドでした

 今回取り上げるのは、マイアミ産ロック/ファンク・バンドのFoxy。<Get Off>、<Hot Number>が全米は勿論、日本でも大ヒットを記録したので、御存知の方も多いかも知れない。ヴォイス・モジュレーターを駆使したギターと、熱くかつ乾いたサウンド・メイキングは、一度虜になったら病みつき。しかもFree Soulとしても十分にイケているので、この機会に若い世代が彼らに注目してくれれば、嬉しい事この上なし。
 アルバムのライナーによれば、彼らは1959年のキューバ革命の際に、キューバからフロリダへ亡命していた一家の子弟によって結成されたグループとの事。したがってディスコをやっていても、どこかラテンの要素を感じるのは、彼らの血筋と幼少期に過ごしてきた経験によるものなのであろう。
『Foxy』

76年のデビュー作。一時期はレアだったが、最近は安値で見かける事も多くなった。ジャケットにメンバーの顔を載せていないのは、明らかにソウル・ヒットを狙ったものであろう。
但し内容はファンクというよりはディスコ。だがサウンドはどれも熱気溢れるものばかり。当時氾濫していた頭悪い系とは一線を画す彼ら独特のサウンド個性が、既に一つの完成系となっている。収録曲は6曲と少ないが、どれも聴き所満載だ。オープニングの<You Make Me Hot>は、ギターのカッティングがいいアクセントになっている秀逸なナンバー。覚えやすいメロディと熱い展開に聴き惚れるこの曲は、今のクラブシーンと照らし合わせても、十分に旬の音と呼べるのではないであろうか?個人的に推薦したいナンバーは<Let's Love>。流れるようなメロディ進行が心地よい、彼ら流サウダージ・ブリーズの逸品だ。
Get Off』

78夏に発表された2nd。タイトル・ソングは、ワウ・ワウ・ギターと「フー・フー・フー!」という掛け声が印象的なエキサイティングなナンバーで、全米ディスコ/ソウル・チャートでブレイク。ポップ部門でも9位を記録する大ヒットとなる。他の曲も前作のディスコ路線から一転、バラエティに富んだ楽曲が揃った。<Tena's Song>はJazz仕立ての小粋なスウィング・ナンバーで、クラブでかけたらかなり反響があるかも。ミディアムの<Madamoiselle>とバラードの<Goin'Back To You>は推薦。幻想的なメロディに絡むハード&ブルージーなギターが、奇妙なアダルト感覚を醸し出している。ポップな<Lucky Me>や<It's Happening>もいいアクセントになっており、全体を通して非常にまとまりのある1枚となった。あとこのアルバムのみに参加していた、Carl Driggsの男臭い&暑苦しい(爆)ヴォーカルは、アルバム中最高の聴き所だ。
『Hot Number』

前作の勢いを受けて、何と半年で出された3rd。しかしやはり製作期間が短すぎたのか、全体を通すと今ひとつまとまりに欠けている。但し曲単独だと、前作を凌ぐものも多い。白眉は何と言っても<Chicapbon Chicapbon>。SantanaやMalo、Azteca、Tierra等のラテン・ロックに通じるダンサブル&ポップなナンバーで、彼らの全歴史を通じて、最高の1曲と断言できる程だ。
またしっとりと歌われる<Nobody Will Ever Take Me Away From You>も、実に味わい深い逸品だ。ヒットしたタイトル・ソングは<Get Off>の完全な二番煎じだが、ややノリがロック的なので、個人的にはこちらの方が好みである。
『Party Boys』

この79年という年は、彼らにとって飛躍的な年であった。春に前作が出され、夏にはIshのソロ(後述)、そして冬には再びグループとしての作品だ。しかし残念ながら内容は大きく後退。全作品中最低の出来になってしまった。無理にニューウェイブ(しかもテクノ方面)の音を取り入れようとしたのが大きな敗因。シングル・ヒットのタイトルは<RRRRRock>。何ともコミカルだが、曲自体は平坦で魅力に欠けている。むしろIshお得意のワウ・ワウ・ギターが炸裂する<I Can't Stand The Heat>の方が、シングルには向いていたかも知れない。ミディアム・バラードの2曲に救われた感が...。
ちなみにこの他に、ライブとベスト(CDのみ?)がある。

Ish Ledesma
FoxyにはあのTito Puenteの息子、Richie Puenteも在籍していたが、やはりメンバーの中で要注目人物は、ワウ・ワウ・ギターを弾きまくり、リードVOを担当し、曲作りにプロデュースに才能を魅せていた、Ish Ledesmaであろう。
Ish Ledesma/『Ish』

79年に発表された初のソロ。時期を考えると、グループとしての『Hot Number』と、同時進行で制作されたものだと推測出来る。だが内容的にはグループとそれ程大差はない。強いて言えば、ディスコ/ラテン色が薄まり、代わりにロック/AOR色を前面に押し出している事であろう。シングル・カットされた<Let's Make Love>は、グループ時代の<Chicapbon〜>をもう少しメロウかつクリスタルに仕上げた、アダルト&ダンサブルな逸品。男の色気を感じさせる、ダンディなギター・ワークも聴き所だ。もう少しビートを強調したエキサイティングな<Please>も良い。
またミディアム・バラードの<Babe>の出来も素晴らしく、アルバム・トータルで推薦。
OXO/『OXO』

しっかしこのジャケは、100回見ても笑えますナ(爆)。ちなみに読み方はオクソ(マルバツマルぢゃないヨ!)。Foxy解散後、Ishが全く違うサウンド・コンセプトを目指して、若手のメンバーを集めて82年に結成。翌年春にこのデビュー作を発表した。内容はDuran Duranみたいな音と、普通のポップ・ロックが大半を占めており、Foxyを期待すると耳を塞ぎたくなる曲が殆ど。だが日米では好意を持って迎えられており、<Whirly Girl>(<ワリィGirl>...何という安直な邦題か!)は全米でスマッシュ・ヒットを記録。更に唯一Foxyチックな<Waiting For You>が日本で大当たり。一躍注目される存在となった。
ちなみにIshはOXO時代に一度来日公演が決まった事がある。しかし結局は中止。チケットが売れなかったのが要因だったとか.....。実現されれば、Foxyのナンバーも絶対に披露されていたであろう。残念で仕方がない。

トップページに戻ります

五線譜1

inserted by FC2 system