五線譜2
Recommend Tracks/AOR Pops8

Jerome Olds/『You Lift Me Up』

 Heart Stringというマイナー・レーベルから80年にリリースされた衝撃の1枚。完成度はBruce Hibbardに遙か遠く及ばないものの、ディスコを消化したダンサブルな感覚は、こちらの方に軍配が上がる気も。タイトル・ソングは腰に来るファンク・ビートと、メロウなサウンドの絶妙なコントラストが魅力的。同タイプの<Saturday Night>はメロディの高揚感を更に上昇させた逸品。Al Jarreauを意識したような<Things I Want You To Know>も素通り出来ぬ名曲。そして問答無用のキラー・チューン<I'd Rather Be Flying>は、StylusやArchie James Cavanaughのファンならば、絶対悶絶間違いナシ。他にも素晴らしいナンバーが盛りだくさん。
Jack Wagner/『Lighting Up The Night』

 全米を制覇した『All I Need』から、約1年のインターバルで発表された2nd。勿論こちらもClif Magness & Glen Ballardのプロデュース。但しややダンス・ビートを意識した感があるので、手放しで絶賛出来ない所が悲しい。それでも<Just Tell Her><Let's Start All Over>などは、相変わらず密度の濃い、完成されたポップ・ロックが展開されている。そしてバラードは期待通り。<Too Young>はGraydon/Foster/S Kipnerによる鉄壁のラブ・ソングで、Fosterファンならずとも、失禁しそうな位に美麗な世界が存在する。また<Love Can Take Us All The Way>はValerie Carterとのデュエット。しかも実力者同士なので、決して甘きに流れない、ピリリとした出来映えとなっている。
David Lasley/『Back To Blue Eyed Soul : Collected Works 1966〜1999』

 本人のサイトで販売されているベスト・アルバム(その後SLICE OF LIFEより発売)。但しベストと言っても内容はかなり変則的で、Rosieのナンバーも入っている他、シングルのB面等の未発表音源も多数。特に彼が60年代に残した音源が聴けるのはかなり貴重だ。更に驚きのナンバーが、フリーソウル・ネタとしても有名なGregg Diamond's Bionic Boogieの<Hot Butterfly>(元のVOはLuther Vandross)。バックのオケは全く同じだが(^^;;;)、やはりLutherを意識しているのか、ここでの彼は特にソウルフルで印象に残るヴォーカルを聴かせている。他にもStevie Wonderで有名な<Stay Gold>や、Angela Bofillの裏名曲<Tell Me Tomorrow>等、かなり注目に値するナンバーも収録されている。
音質的には相当に劣悪な曲もあったりするのだが(テープ起こしの為)、あの『Demos』以上に希少価値の音が聴けるという事で、かなりのお薦め盤デス。
Suzanne Stevens/『Stardust Lady』

 78年に出た大穴的作品。全体的に都会的路線が未消化なのは否めないが、数曲でEvie Sands等を彷彿とさせるブルーアイド・ソウル的路線が展開されており、これがいずれも出来が良い。注目はDoobie BrosのAOR化始めとされる『Takin' It To The Street』収録曲をカヴァーした<Losin'End>。原曲よりもビートが少し強めの好感触ヴァージョンに仕上がっている。またミディアム・フロウの<You're The Song>や、甘さとファンキーさが同居したような<I'll Come Along>等、随所に聴き所が存在する。ちなみに<Just The Way You Are>は勿論Billy Joelのあの曲だ。
Teresa Tull/『Let It Be Known』

 フォーク系のヒトらしいのだが詳細は分からず。確かに数曲ではその要素も感じられる。しかし基本はブルーアイド・ソウル。しかも黒さの描写に於いてはかなり徹底しており、これで歌い方がもう少し黒ければ完全なソウル・アルバムだ。1曲目のタイトル・ソングはフリーソウル・ファン必聴のファンキー&メロウ路線だが、続く<There's A Light>はサウダージ路線のバラード。<Musicians>もゆったりテンポながらも黒々とした音を展開。そんなA面に比べB面はやや渋め。それでもジャジーなミディアム・フロウ<The Meaning Of Love>など聴き所はは少なくない。アルバム・トータルで推薦。
Valentine/『Valentine』

 Sylvester Stalloneの弟と言うよりは、<Far From Over>の大ヒットで有名なFrank Stalloneが在籍していたグループ。アルバムは78年に出されている。全体的にはかなり中途半端だが、メロウ・テイストを感じさせるナンバーは手放しで絶賛出来る程に素晴らしい。日本のシティ・ポップを連想させる<I Just Don't Know>。イントロから引き込まれる魅力的なメロディを持つ<So Sad to Break Up>。そしてアルバム中最高の名曲が<Madame Blue>。どことなくMarty Balinの<Hearts>を彷彿とさせる味わい深いライト・メロウ・テイストは、何度耳にしても哀愁気分にさせてくれる。
 ちなみに<Take You Back>は映画『Rocky』でも使用されている。
Bad News Travels Fast/『Look Out』

 Playerの3rd『Room With A View』に収録されていたバラードを、ついつい思い浮かべてしまうグループ名であるが.....(汗)。77年のDisco Hit<Romeo And Juliette>やサントラ『Thank God It's Friday』のテーマ・ソング(歌唱はLove And Kisses)で知られているAlec R Costandinosが手がけたブルーアイド・ソウル・バンド。但しDisco色はあくまでもダンサブルなスパイスとして利かせているだけ。フュージョン的な要素も随所で取り入れた楽曲はスリリングで魅力的!。推薦曲としては神秘的なメロディにリズム・セクションの洪水が絡む<Play You A Love Song>。ストリングスを効果的に使ったアレンジが抜群に美しいバラードの<Come To Me Babe>あたり。B面はやや難解な楽曲が多いものの水準は余裕でクリア。Stylusあたりのファンは是非ともチェックをして頂きたい、メロウ・グルーヴの大穴的バンドである。
2nd『Ordinary Man』もあるが、内容的にはこちらの方が上である。
David Gates/『Take Me Now』

 60年代中半にソング・ライターとして活躍後、Breadを結成して一世を風靡したお方。ソロとしても<Goodbye Girl>等ヒットを放っている。これは通算5枚目に当たるソロ・アルバム。Bread時代から一貫している路線に特に変化は見られないが、AORファン失禁&悶絶のナンバーが1曲収録されている。その<Lady Valentine>は10年以上に渡るフェイバリット。かの山下達郎氏も「珠玉の名曲」と語った程、凄まじい完成度を誇る。1st収録の<Lorilie>や3rd収録の<Took The Last Train>等々、ソロになってからブラック・ミュージックに傾倒した曲を生み出しているが、その中でも間違いなく頂点に位置するであろう。勿論当時ヒットしたタイトル・ソングは聴き逃すべからず。また<This Could Be Forever>はTom ScottのSaxがメロウな雰囲気作りに一役買っている。
McGuinn Clark & Hillman/『McGuinn Clarke & Hillman』

 将軍Roger McGuinn、そしてGene Clarke、Chris Hillman。Byrdsのオリジナル・メンバー3人が集まって78年に結成されたトリオ。アルバムは翌年に出されているが、ポップ色が濃すぎる故に、Byrdsファンからは投石状態(爆)。しかしこのサイトをご覧になっている方ならば、絶対に要チェック盤だ。<Don't You Write Her Off>は、<Mr.Tambourine Man>や<Turn! Turn! Turn!>をモロに16ビート化したような、ダンサブルな逸品だ。<Surrender To Me>はStephen Stills Manassas(もしくはFirefall)の<It Doesn't Matter>を彷彿とさせる、高揚感溢れるメロディ・ラインが実に魅力的だ。
Jim Capaldi/『Fierce Heart』

 元Traffic。またソロ・アーティストとしても何枚もアルバムを発表しているお方。83年の当該作はその中でも一番の成功を収めたもの。プロデュースは盟友Steve Winwood。彼自身の『Arc Of A Diver』を彷彿とさせる、ポップな楽曲が目白押しだ。白眉は当時スマッシュ・ヒットを記録した<That's Love>。軽快なテンポに必殺こみあげメロディが絡む逸品だ。同タイプの<Tonight You're Mine>の出来も素晴らしい。全体的にはAORとWe Are The 80'sの中間に位置する内容かな?


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