五線譜2
Recommend Tracks/AOR.Pops1

Sweet Confort Band/『Hold On Tight』

 Contemporary Christian Music界が誇るスーバー・スター。Bryan Duncan率いるSweet Confort Bandの79年発表の3rd。持ち前のメロディを存分に生かし切ったミディアム・フロウ、「Undecided」は彼らの全楽曲の頂点。Seawind Hornsが活躍するダンサブル&ポップなタイトル・ソング。Fusionの要素を加味した軽快な<Take It-Save It>。心を焦がすバラードの<Chasin'The Wind>等々。鮮烈にして華麗な楽曲が所狭しと立ち並ぶ。

Art Garfunkel/『Fate For Breakfast』

 Simon&Garfunkelの...という説明は不用な位、いまやソロとしての地位を確立している彼の、79年発表の4枚目。真夜中の旋律が聴き手の自意識を遠ざける<In A Little While>は、彼の全歌唱曲の頂点。Don McLeanやGuns n' Roses(!)のヴァージョンでもお馴染みの<Since I Don't Have You>の、どこまでも都会的に徹したメロウ感覚。David Sanbornの『As We Speak』で作者のMichael Sembelloが自演した<And I Know>に於ける、とろける様な甘さも絶大なる魅力だ。

Paul Simon/『One Trick Pony』

 今度はSimonの方を1枚。これは自ら主演した映画のサウンドトラックで、80年に発表されたもの。何と言ってもタイトル・ソングには悶絶。Early80'sNY系お洒落Fusionサウンドが、ダンサブルな感覚一杯に炸裂するのだから、たまったものではない!バックにはEric Gale、Richard Tee、Steve GaddのStuff隊やTony Levin等、凄腕ミュージシャンが勢揃い。当時ヒットした<Late In The Evening>なんかも、若いDJやクラブ・キッズに認知されれば、フロア爆発系の人気曲になるかも(実際小沢健二がネタに使っているとか...?)S&G時代を彷彿とさせるメロディ・ラインを聴かせる<Jonah>には涙すべし。
 尚、73年の『There Goes Rhymin' Simon』には、Bob Jamesのカヴァーで(今はネタとして?)有名な、<Take Me To The Marti Gras>が収録されている。
Dave Mason/『Certified Live』

 Traffic(Steve Winwood)等、ここで書くにはスペースが足りない位の名グループに在籍経験を持つ、ロック界の伝説男。そんな彼の76年のライブは、正にベストと呼ぶに相応しい内容。圧巻は<Feelin'Alright>、Traffic時代に自ら生み出した名曲の再演で、うねりまくるグルーヴにドライヴするギターが実にファンキーで心地よい。Bob Dylan作曲、Jimi Hendrix(クラブではBarbara Keithの方が有名かな?)の名演で知られる<All Along The Watchtower>の説得力ある解釈も秀逸だ。このヒトはFree Soul的に見てもイケてる曲が多く、73年の『It's Like You Never Left』のタイトル・ソングや<Baby...Please>、75年の『Spirit Coconut』のタイトル・ソング等は是非とも要チェック。特に79年の『Old Crest On A New Wave』収録の<Save Me>(何とジャイケル...もといMichael Jacksonとのデュエット)は、直球ストライク・ゾーン(?)モノである。

The Four Seasons/『Who Loves You』

 <Sherry>等のオールディーズ・ヒットで有名なグループが、75年に復活扱いで発表したのがこの作品。今やダンス・クラシックの仲間入りした<Oh What A Night(December,1963〜ふりーまんの誕生年月...爆)>の軽快なステップ。ディスコとアメリカン・ポップスの伝統が理想的な形で消化を果たしたタイトル・ソング。この2大ヒットに尽きると思いきや、アコースティック・ギターが効果的な<Silver Star>、ブラスも交えた飛びっきりお洒落な<Mystic Mr.Sam>、ハーモニーの完璧な美しさを堪能できる<Storybook Lovers><Perfect Harmony>(自画自賛ですな...爆)等々、アルバム・トータルで推薦!
Barry Manilow/『One Voice』

 <Copacabana>のヒットを生んだ『Even Now』に続いて、79年の秋に出された作品。ヒットの規模こそ前作に及ばなかったが、Leon Wareのカヴァーで有名(?)な<Where Are They Now>等、実は地味ながらも佳曲が揃った好盤。ここでの対象曲は<Rain>。Leroy Hutsonあたりのアーヴァン・テイストをBarry流に解釈。彼らしからぬ黒々とした雰囲気が伝わる秀逸なる調べ。Free Soulのコンピに収録しても違和感は皆無。この1曲の為に購入しても絶対に損はナシ。中古のレコードなら上手くいけば¥50くらいで買えるかも。
Joe Jackson/『Body And Soul』

 彼流クロス・オーヴァーと呼ぶに相応しい、1984年のマスターピース。ヒットした<You Can't Get What You Want>は、美しすぎるメロディにチョッパー・ベースを交えた、エキサイティングかつ心地よさ満載の逸品。同タイプの<Happy Ending>はデュエット仕立て。甘口と激辛を同居させ、単なるラブ・ソングに仕上げないのが、いかにも彼らしい。当時車(だったっけ?)のCMに使用された<The Verdict>の圧巻の自己主張。ドラマティックな展開が涙を誘うインスト<Loisaida>等々、サウンドの傾向は全く違うけれど、作品全体の完成度はあのAirplayに匹敵すると言っても過言ではない。ちなみにジャケットはSonny Rollinsの『Vol 2』のパロディ。
Erik Tagg/『Rendez-Vous』

 今や私の名刺代わりになってしまった、大のフェイバリット作。秀逸メドレーの<Got To Be Loving You〜Rendez-Vous>は、幻想的なサウンドにソウルとポップスが同じ舞台で自己主張を奏でる。繊細な旋律と、フュージョン前夜とも言えるアダルトな曲調が聴き手の感情を揺さぶる<Marja's Tune>。一度耳にしたら忘れられないイントロから、ミディアム・フロウへとドラマティックな展開が凝縮された<Soul Touch>は芸術品。そしてLP未収録の3曲の秀逸な事!<Living Off The Love>はフィラデルフィアのソウル美学をErik流に解釈した、ダンサブルでアダルトな名曲。<The Love I Gave>と<Who Are You>は同系統の音だが、更に強調されたビートと劇的なメロディ展開が、Free Soulファンの感情を大きく揺さぶる。
The Archers/『Stand Up』

 70年代前半から活動してきた、CCMの兄弟グループ。79年の本作は、来るべきAORブームを予言していた様な、軽快でメロディアスなナンバーが眩いまでの輝きを放つ。白眉は<Only His Love>。ディスコ・サウンドを大胆に取り入れているが、頭悪そうに聞こえないのは、やはり伝統のアメリカン・ポップスの下地があるから。タイトル・ソングも基本的には同路線だが、ブラス・セクションを大幅に取り入れて、幾分お洒落ながらも、黒人音楽に対する憧憬を彼らなりに演出してくれる。前作にあたる78年の『Fresh Surrender』収録の<With Every Breath I Take>も、スマートなダンス・ビートに絡む高揚感タップリのメロディ展開が、実に粋な都会的空間を演出してくれる。
Wax/『Magnetic Heaven』

 ファンク・バンドにも同名のグループが存在するが、こちらはソロとしても数多くの代表曲を残している、ウエスト・コーストの職人Andrew Goldと、10cc他多くのグループで名曲を生み出している、Graham Gouldmanによるモダン・ポップ・ユニット。これは86年の1stにして名盤。<Right Between The Eyes>はモータウン・サウンドと、モダン・ビート(当時の)が一体となったエキサイティングなナンバーで、Hall&Oatesの<Maneater>やPhil Collinsの<You Can't Hurry Love>と相性は超バツグン!ハードでドラマティックな<Ball & Chain>では、AndrewのRapが短いながらも相当にイケている。Mellow Grooveとしてはかなり道を外れているアルバムだが、天性のポップなメロディ・メイキングは、表現方法が変わろうと不変である。でもこの後の2枚は残念ながらウルサイだけデス.....(無念)。
 尚<Ball & Chain>だが、1stプレス及びCDは4分28秒だが、2ndプレスのアナログは何と、5分49秒!恐らく12inchヴァージョンと推測されるが、オリジナルのフェイド・アウトで終わる所に、新たに凄まじい展開を導入しこみ上げ度を倍増させ、聴く者の感情を煽りまくる。そして何とエンディングまでしっかり加わるという、至れり尽くせりのヴァージョンに激変している。

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